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小琉球


 島好きのわたしは、以前から小琉球という名前に興味をもっていた。沖縄と関係あるのだろうか?このたび友人の招きで、小琉球を訪れた。
小琉球へは、高雄から車で約1時間の東港から船で約30分で行ける。
その日はあいにくの雨だった。東港からの船は、台湾の休日のせいで乗客であふれかえっていた。雨が激しく降りだして、船は上下に揺れたが、幸い船酔いをする間も無く、無事小琉球に到着。
 小琉球は、台湾で唯一の珊瑚礁でできた島だ。散歩しているといたるところに珊瑚の岩肌が露出していて、昔はここが海の下だったことがうかがえる。
最近は本土から水道と電気が引かれたので、島の暮らしはずいぶん楽になったとのことだが、以前はここでの生活は厳しかったらしい。島人の話によると子供は、朝の3時に起きて遠くまで水汲みに行くのが日課だったという。水汲みは大変重くつらい仕事だったらしい。子供のころに毎日水汲みしたのでわたしは背が伸びなかったのよと、話してくれた中年の婦人が日焼けした顔ほころばせた。

 夜に道教の寺院で、「降霊」(本当はどう呼ばれているのか知らない)があるというので一緒に連れていってもらう。なんでも漁船に鬼(悪霊)がついたのでみてもらうのだという。この島には仏教や道教の立派な寺院がたくさんある。世界のどこの離島に行っても、寺院や教会が多い。これは厳しい島の暮らしや、危険の多い海での仕事からくる信仰心の篤さからなのだろうか。
その道教の寺院は、建立200年の石造りの立派な寺院だった。人々が三々五々集まってきて雨の中、儀式が始まった。


 寺院の前に設えられた簡単な祭壇に護摩が焚かれ、その前でおじさんが太鼓を叩きながらじゅ文を唱え始めた。疲れるのか3人のおじさんが交代で太鼓をたたく。わたしには、どこにでもいる普通のおじさん達のように見える。その前で4人の男が木で作った簡単な御輿を担いでいる。この御輿に神が降りるのだという。神が降りると御輿は重くなるとのことだ。御輿を担いでいる男達は、たばこを吸ったり檳榔をかんだりして気楽にやっている。こんなことをしていて神様に失礼ではないのだろうか、神様ははたして降りてくるのだろうかと要らぬ心配をしてしまう。道教の神様は寛容らしい。かれこれ2,3時間たったころだろうか雷雨が、激しくなったと同時に御輿の動きが激しくなり、前後に揺れ始めた。しばらくすると突然御輿が旋回を始めた。どうやら神様が降りてきたようだ。御輿は何度かそのような動きをしたあと、祭壇に御輿がやってきた。太鼓を叩いているおじさんが何か御輿に向かって言うと、御輿を支えている1本の棒が台の上に敷いた護摩の上に何か文字を書きはじめた。自動書記がはじまったのだ。担ぎ手の男達の額に、汗がにじんでいる。おじさんが何かを質問すると、しばらくして担ぎ棒が文字を書きはじめるといった形式のQ&Aがかなり長い間続いた。人々は「あっ、これは何の字だ。」などといって気軽に見物している。しかし除霊を頼んだ人は真剣な面持ちだった。


みんな気楽な格好で参加。かわるがわるに神輿を担ぐ。
右で太鼓をたたいているおじさんが導師。


 わたしは昼間の疲れが出てきたので途中で帰ったので最後まで見届けなかったが、夜中過ぎまで儀式は続いていたらしい。後で台湾の友人に聞いたら、霊は海で死んだ船のオーナーのお兄さんの霊で、悪い霊ではなかったとのことでした。
台湾の小島での不思議な体験だった。