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陽明山公園


台北駅の裏手から30元払って260番のバスに乗りこむ。昼前のせいか車内は空いていて、座ることができた。バスは台北の銀座通りと称される中山北路を北上しながら、ときどきバス停で手を挙げて乗車の意志を知らせるオバサン(台湾語でもオバサンで通じる)たちを拾いながら、市街地を通り抜けてひた走る。私は、海外旅行でよく市内バスを利用する。ときどき行く先も決めぬままに、適当に市内バスに乗り込み、市内観光することがある。バスは私を意外な場所に連れていってくれたりする。また、裏町を走る車窓から庶民の生活を垣間見るのも旅の楽しみのひとつだ。

 バスが市街地を過ぎ、ぐんぐんと坂を上りはじめると、台北の市街が眼下に広がって見える。大学があるのか、学生が大勢下車するので、終点かと思いバスを降り山の方へ歩いてゆくと、面白い光景に出会った。若いカップルが結婚用の写真を撮影していたのだ。 台湾では婚礼用の豪華アルバムを作るのが大流行で、市内の目抜き通りにはきらびやかなインテリアを施した婚礼写真店が競うように軒を並べている。店頭にディスプレイされている写真をみると、新郎新婦が顔を寄せあってキスしかかっているものや郊外の景勝地で撮影されたものなど、まるで映画のスクリーンから抜け出してきたようなショットが並べられている。誰もが一生に一度は主役になれる結婚式を謳歌しようという趣向だ。若い独身女性の間にも、青春の記念にとアルバムを作るのが流行っているらしい。

                                               
 陽明山国家公園は高所にあるため、台北市街に比べると空気が清々しい。公園といっても、中には山や湖がある広大な場所だ。公園内にはハイキングコースがいくつも設けられていて、バードウォッチング、バタフライウォッチング(蝶の回廊)、植物観察などができるので、手軽に台湾の自然に親しみたい人や運動不足の人にはお勧めの場所である。ここは花の名所としても知られていて、春になると花見が出来る。また、陽明山温泉もあるので、温泉に浸かって旅の疲れを癒してみてはどうだろう。

       1997年11月 流葉記